もくじ
『 イースター / Easter 』とは?
キリスト復活を祝う祭
イースターは、日本でも『兎と卵』というモチーフにより知られ始めていますが、正式には、処刑されたキリストが、その3日後に復活したことを祝う『復活祭』という行事なのです。
欧米では、イースターの日に教会に出かけ、礼拝や会食を行うクリスチャンも多くいます。キリストの誕生日であるクリスマスよりも重要な祭にランクされているそうです。
救世主キリストを、日本ではイエス・キリストと呼びますが、英語では『Jesus Christ』 と書き、『ジーザス・クライスト』と読みます。
よく、アメリカ映画のキャラが「Oh…ジーザス…」や「ジーザス クライスト!」と言う定番のセリフがありますが、日本語にすると「マジかよ…」というような意味のスラングでもあるのです。
In the Christian festivals , Easter is more important than Christmas.
キリスト教の行事の中では、イースターはクリスマスよりも重要な祭である。
イースター2024年はいつ?
イースターは、『春分の日以降の、最初の満月のあとの日曜日』に祝う行事であり、毎年、日付が変わります。
2024年のイースターは3月31日(日)で、
2025年だと4月20日(日)になります。
ふわふわ教授
※東方教会と西方教会でも日付が異なるそうです。
春分の日も、年によって3月20日~3月21日のいずれか(※まれに19日)と変化するのでイースターの日も毎年変わります。
イギリスやドイツを始め、ヨーロッパでは『イースター休暇』があり、土日を挟んで4連休になることもあります。
アメリカの小学校では『エッグハント』が定番
私が暮らしていたロサンゼルスでは、幼稚園や小学校では『キリストの復活』といった宗教的側面を教わった記憶があまりなく、卵に絵を描いたり『エッグハント』というイベントを学校の校庭で行った印象のほうが強く残っています。
学校をあげて皆で楽しめる、一大イベントだったことです!
ふわふわ教授
When I was in elementry school, I painted some Easter eggs and enjoyed Easter egg hunt.
私は小学生の頃、イースターエッグの色塗りをしたり、エッグハントを楽しみました。
アメリカではエッグハントという遊びにフォーカスが当てられますが、欧州などでは国ごとに全然違う祝い方がなされます。
The Standard によると、ヨーロッパのイースターは、よりキリストの復活祭という目的性が強く、大がかりな催しが多い傾向にあります。
フランスでは、巨大な鍋に卵を投入して10人がかりで巨大オムレツをつくる祭りが開催されます。また、イースターエッグをアメリカにもたらしたとされるドイツでは、巨大な車輪『Easter Wheel』に火をつけて丘の上から転がす祭りが開催されます (リュクデ市)
ふわふわ教授
※本記事ではアメリカでの実体験を元に、エッグハントの模様も後述します。
『イースターエッグ/Easter egg』とは?
復活祭に『卵』を祭るのはなぜ?
イースターの時期に作られるカラフルに色付けされた卵を『イースターエッグ』といいます。
キリスト教で卵を祭るようになったのは、『新たな生命』や『再生』の象徴である点や、卵の殻を破ってヒヨコが産まれる様子が、キリストの復活を表しているからとされています。
13世紀ごろには、キリスト教徒の風習として『イースターエッグ』作りは定着していたそうです。
初期のイースターでは、卵を赤く染めるのが一般的だったそうです。赤は、キリストの血の色を表します。
※卵に色付けする文化そのものは、少なくとも1000年以上前からヨーロッパに存在していました。キリスト教により広まる遥か前からの伝統なのだそうです。
『イースターバニー』が卵を運んでくる
この『イースターエッグ』を運んで来て、庭に置いていくと言い伝えられている兎のことを『イースターバニー』もしくは『イースターラビット』といいます。
兎は、1年中発情するなど『多産』で知られる生き物です。よって、多くの『生命』をもたらすという点からイースターのシンボルにふさわしいのかもしれません。
イースターバニー
『生命』や『豊作』の象徴なんだよね!
『イースターバニー』の昔話は、ドイツからアメリカに伝わって来た。
『イースターエッグ』の種類と作り方の違い
現代のイースターは、すでに大衆化していますので、好きな絵柄で自由に卵を彩色しても大丈夫です。大きく分けて、本物の卵で作る方法と、人工の卵を使う方法があります。
本物のタマゴで作る『イースターエッグ』
◎ゆで卵を作り、殻ごと染液に浸したり、殻の表面に筆で絵を描く方法です。あとから殻を剥いて食べることができます。ただ、染め方や塗り方の加減が重要です。
色を塗り過ぎたり染め過ぎてしまうと、いざ中身を空けたら、絵の具や染料がゆで卵の白身に染み込んでいて、とても食べられないという場合があります。
◎生卵に針で穴を開け、中の卵液を抜き取ったあと、殻に絵を描く方法。この方法だと色の染み込みを気にせず思い切り描けるし、彩色した卵を作品として保存できるメリットがあります。卵を抜く作業の難易度が少し高いかもしれません。
ふわふわ教授
一般的には『吹きガラス』のことも『マウス・ブロー』といいます。竿の先に溶けて柔らかくなったガラスを巻き取り、竿の反対側から息を吹くことで、コップや花瓶などを作る技法です。
※私が目撃した『マウス・ブロー』についても、後述します。(『イースター80年代アメリカでの実体験』を参照くださいませ。)
プラスチックなどの『人工イースターエッグ』
本物の卵の代わりに、卵サイズのプラスチックケースにチョコレートなどのお菓子を何粒か入れて、『イースターエッグ』とする方法も一般的です。
『エッグハント』の際、地面に本物の卵を直に置くより衛生的です。
また、プラスチックのケースは繰り返し使えます。中に小物などを入れられるので、イースターが過ぎても、日用品の保管や整理整頓用に転用する人もいるそうです。
フィルムカメラが全盛の頃に、余ったフィルムケースに細かい物を入れて活用する人がいましたが、同じ感覚でプラスチックなら再利用できます。
プラスチックのような人工物で作られた卵を、『Artificial egg /人工の卵』と言います。
また、色付けに専念しやすいように、本物の卵にそっくりな人工の卵も市販されています。他にも木目を活かせる木製の卵や、つやのある磁器でできた物もあります。
欧米では、本格的な芸術作品という位置づけで『イースターエッグ』を創る人々もいらっしゃいます。
プラスチックの卵は、見るからにプラスチックだと分かりますが、本物の卵に見えるくらい精巧な卵は、『Fake egg/偽物の卵』と呼ばれることが多いです。
イースターバニー
『本物の卵』を染められるよ。これなら安心して食べられるし、楽しそうだね!
参考動画/計2分20秒。※BGM流れます。
『イースターエッグ・ツリー/Easter Egg Tree』
私はアメリカでは見たことはありませんでしたが、『イースターエッグ』で樹木を飾り付ける『イースターエッグ・ツリー/Easter Egg Tree』というものがあります。
クリスマスツリーの『イースター版』のようなものです。
ゆで卵では、重くて木の枝に吊るしにくいので、プラスチックケースや、中身を抜いた『イースターエッグ』をリボンで枝に結わえつけます。
一説によると、ドイツで100年以上前に『イースターエッグ・ツリー』が作られるようになったそうです。
『イースターエッグ』を樹木に飾る文化は、アメリカよりもヨーロッパのほうで好まれていて、競うように大量の『イースターエッグ』を樹木に吊るす人々もいます。
ドイツでは、庭の木に10000個の卵を吊るした人もいます!
参考 YOUTUBE動画/計1分27秒。
『エッグハント/Egg hunt』とは?
イースターの日、または近い日の登校日などに行われる『卵拾い競争』のこと。
『イースターエッグ』を、あらかじめ大人が自宅内や校庭のあちこちに隠し、それを子供たちが皆で探し、どれだけ拾えるかを競う遊び。
ほとんどの卵は、グリーンの芝生に置いてありますが、中には『かくれんぼ』している卵もあるので、探す楽しさもあるゲームです。
アメリカには、芝生の校庭や公園が多いので、『イースターエッグ』がとても映えます。
「Ready, set, Go !/よーい、ドン!」の掛け声とともに、バスケットを持った子供たちが一斉に走っていく光景が記憶に残っています。好きなように卵をハントしても良く、細かいルールはありません。
「よーい、ドン!」は英語では『READY STEADY GO』?金色の卵を見つけると金賞をもらえたり、コンテストのように順位を決める場合もありますが、どちらかというと和やかな子供の遊びなので、さほど真剣にならずに楽しめます。
卵の数が十分に用意され、参加者全員に行き渡るよう配慮されていれば完璧です。
イースターは、日本人には、あまり馴染みがない。しかし、欧米の子供にとっては大きなイベントなのである。
史上最大規模の『エッグハント』として、501000個の卵が使用され、9753人の子供が参加した大会が、ギネス記録として登録されているようです。
※リンク先『ギネス世界記録』(海外サイト)
参考 史上最大規模のエッグハントギネス世界記録『イースターチョコ』は『バレンタインチョコ』よりも販売量が多い!
3位『バレンタイン』2位『イースター』1位は…
アメリカでは、バレンタインデーにチョコレートや花を(おもに男性から女性に)贈る習慣があります。よって、『バレンタインギフト』のチョコレート需要は多く、2月14日の週は、年間3番目にチョコレートを売り上げる時期なのだそうです。
ふわふわ教授
いかにイースターが欧米では一大イベントなのかが分かりますね。卵の代用品だったはずのチョコレートが、今や巨額の経済効果をもたらしています。
イースターをさらに上回る、映えある第1位は……?
In America, chocolates are selling the best of the year during the Halloween season.
アメリカでは、チョコレートが年間で最も売れるのは、ハロウイーンの時期です。
イースターチョコの歴史は19世紀に始まったとされる
『イースターエッグ』を祭る習慣が定着してから500年以上経ったあと、フランスとドイツで卵の形をしたチョコレートが本格的に製造されるようになったそうです。
『イースターエッグ』『イースターバニー』『イースターチョコ』の3つが揃い、イースターが一気に誰でも楽しめる可能性のある存在に変化したのが19世紀からなのです。
キリストの復活を記念するための行事から転じて、コマーシャリズム化したイースターがこの時期から始まったといえます。
しかしながら、その商業主義のおかげで、日本でも、KALDIや成城石井で『German Chocolate/ドイツチョコレート』を手軽に入手できるようになりました。
私は、数々の興味深い『イースター文化』を創造した人々に感謝します。
『イースター』 80年代アメリカでの実体験
近年の『エッグハント』では、卵型のプラスチックケースを使うことが多いようですが、80年代後半のロサンゼルスでは、圧倒的に本物の卵を使ったエッグハンティングが主流でした。
子供は、自作の『イースターエッグ』を学校に持参する
『エッグハント』当日には、自宅で作った何個かの『イースターエッグ』を学校 (幼稚園) に持って行きます。
絵柄や塗りかたにルールはなく、好きなように作ってOKでしたので、私の『初・イースターエッグ』は、カラーのサインペンで模様のようなものを描いた記憶があります。
『トイザらス/TOYSЯUS』等では卵のカラーリング・グッズが多数販売されていて、これらのツールを用いた色染めにもチャレンジしました。
色染めだと、簡単に卵の全面に色を付けられます。ムラなく染められるので、あえて無地のままでも、すごく綺麗です。
保存用の『イースターエッグ』は、じっくり手描きで作り、『エッグハント』用の物は、色染めにする…という風に使い分けるのがベストかと私は思います。
あとで割って食べてしまう物なので、小学生の私は、「丁寧に緻密な絵を描くのは、もったいない」と学び、翌年は色染め中心の制作スタイルに移行した記憶があります。
私は小学生の頃、お手製のイースターエッグを学校に持って行きました。
学校では、追加の『イースターエッグ』を作る
『エッグハント』当日の学校では、授業の時間内に追加で『イースターエッグ』を作りました。
子供たちが自宅から用意してきた分と、学校で作る分を合わせて、十分な量の『イースターエッグ』をそろえる為です。これを全部回収し、職員や手伝いに来た保護者らが、校庭に卵を配置する作業を行います。
また、子供たちが『エッグハント』時に使うバスケットは、片手で持てるサイズだったので、大量の卵は入りません。最終的に子供たち全員が、一定数の『イースターエッグ』を持ち帰れるように運営されていました。
よって、「自分がハントした『イースターエッグ』は全て持ち帰っても良い」という単純なルールでも、獲得数に不公平が出るようなトラブルは発生しませんでした。
衝撃の生タマゴの『中身の抜き取り』術
食べ物なので、ゲットした『イースターエッグ』は、持ち帰って食べるわけですが、殻を開けてみると、中身に塗料が染み込んでいる物が、いくつか含まれていました。それらは、食べられないので、残念ながら処分します。
この『色の染み込み』問題に対処するために、卵をゆでずに、生卵に穴を開けて『中身だけ抜き取る技』を学校で披露した教員がいました。
やり方は、生卵の殻の、てっぺんと底の部分の2か所に、画鋲などで小さな穴を開けます。そして、片方の穴に口をつけて息を吹き、下の穴から卵液を噴出させるという方法でした。
何人かの生徒とともに私もやりましたが、ボウルに溜まっていく卵液を、その後どうしたのかは知りません。あとから思うと、この先生の使った技は、衛生面などの観点から、今のご時世では受け入れ難いだろうなと感じられました。
…ところが、2020年現在でもこの技は、いまだ主流のようです!
しかも『Mouth-blow/マウス・ブロー』という用語まであるほど一般的なテクニックで、イースターに詳しい日本人によるブログや、『クックパッド』などで、この方法を紹介されている方が複数いらっしゃるので驚きました。
イースターバニー
穴を大きめに開けて棒で掻き出せば問題なく料理にも使えるよ!
良いイースターを!(イースターおめでとう!)
上記は、アメリカでも一般的なイースターの挨拶です。宗教に関わらず、使っても無難な挨拶だそうです!
本日も最後までお読みいただき、誠にありがとうございます!